左近山・伊豆の郷愁風景

兵庫県養父町<農村集落> 地図 <養父市>
町並度 4 非俗化度 10 −円山川支流・大屋川を挟み展開する集落−



左近山集落(対岸より)




左近山集落
 

 左近山・伊豆地区は円山川支流・大屋川を挟んで向い合う二集落である。
 左近山は山が左に迫った地形の意ともいわれ、古くは迫山も記した。その通り川岸には平地がなく、斜面上に展開する集落となっている。しかしそんな中でも三階建養蚕集落が見られ、土蔵も多く見られる。宅地を確保するため石垣が多用され、かなり高い石積も見られる。離れたところから見ると、川沿いから石垣を多用しながら三段・四段に家々が建ちあがっている様子がわかる。
 一方、右岸側の伊豆地区は狭いながらも平地が展開し、家々の展開も左近山地区とは対照的である。気抜きの小屋根を持つ三階建の養蚕家屋も多く、その卵色の漆喰の建物が対岸から見ると何だかリズミカルに並んでいるように感じられる。近づいてよく見ると、もとは養蚕目的だった建物を改装して一般家屋として三階屋を上手く利用されている姿も見受けられた。
 両集落とも藩政時代の多くは出石藩領であったが、伊豆村は江戸後期の天保7年からは幕府領となった。しかし当村には大屋川沿いの32村の大庄屋小野山家が、幕府領になるまで置かれていた。大屋川もこの地区を過ぎると平地が広がり、町場の広谷村を控えていたことから、川沿いの諸村にとって要であり関所のようなところであったのかもしれない。


 


 


 


 
伊豆集落


訪問日:2021.06.27 TOP 町並INDEX