八木の郷愁風景

奈良県橿原市<商業町・街道集落> 地図 
 町並度 6 非俗化度 9  −今井の影で忘れられたように息づく古い町並−



八木町の町並。町並としては全く話題に上ることがありません。

中街道沿いの本瓦葺きで、土蔵を従えた大規模な旧家です。
 

 橿原市八木は街道上に栄えた市場町、商人町である。町の中心を南北に走る中街道、そして東西に横切る伊勢街道の交わるところで、人の往来の交差するこの町は中世から市が開かれ、商業、流通に携る座が置かれた。江戸期には酒造業、綿打職、荒物屋、繊維商、薬商、月代(今の理髪店)など非常に多岐にわたる職種が、この界隈にひしめき営業されていた。また旅籠も設けられ宿場的な機能もあったと言われている。
 古い町並はかつて高札のあったことをうかがわせる「札の辻」という両街道の交点を中心として、北は近鉄の踏切辺りから南はJR桜井線を跨いだ辺りまで続き、東側の伊勢街道沿いにも旧家がある程度まとまって残っている。
 南西に歩いて10分ほどの今井町の陰に隠れ、この町並が注目されることは皆無である。しかし大商業都市今井を控えた門前町的な役割があったのか、建物の造りは今井と酷似している。本瓦が比較的よく残っていることからも、江戸期の建築物も多数含まれるものと思われる。
 周囲は近鉄大和八木駅、八木西口駅、JR畝傍駅があり、近代的な商業地が展開している。その波に飲み込まれていないところを見ると、住民が意識して古い家並を保持してきた色が伺える。職人が屋根に登って改修中の旧家もあった。今井だけでなくこの八木も、古い町並として今後も受け継いで行ってほしいものだ。


伊勢街道沿いの町並







中街道沿いの町並 伊勢街道沿いの町並。袖壁が連続しています。


訪問日:2002.10.14 TOP 町並INDEX