夜久野の郷愁風景

夜久野町は京都府の西端、古くは山陰道に面する町でその後も山陰本線、国道9号線と幹線交通の通過するところとなっている。往時からの旧市街が国道から外れたため、古い町のたたずまいが比較的良く残っている。
	夜久野町額田地区の町並

古くは夜久野ヶ原と呼ばれていたこの地区の中心集落額田は宿場町に由来するもので、古くから市が開かれていたほか、但馬との国境にも近く軍事的にも重要な拠点でもあった。街道を往来する旅人や商人なども多くここで旅装を解いたことであろう。 　産業も盛んで、特に漆は有名で畿内各地に販売されていた。その他炭や燃料となる桐の実、材木などが盛んに産出された。これらは額田にあった河岸から福知山へ舟で運びこまれていたそうで、多くは福知山城下で消費されていたのだろう。 　国道9号の北側に展開する額田集落は典型的な街道集落の様相で、時折曲折しながら連なる一本道に沿い町並が連なっていた。建物の造りに統一感がないのも特徴で、つし二階建の町家があるかと思うと明治後期から大正に建てられたらしい立ち上がりの高い建築や洋風の外観を保つもの、そして塀を連ね街道筋から控えた位置に主屋を構えた屋敷風邸宅。それらが雑然と入り混じり古い町並を形作っていた。歩いていると、その変化ある家並が面白い。
格式ある邸宅が残っていた