山田麓の郷愁風景

鹿児島県姶良町<武家町> 地図 <姶良市>
 
町並度 5 非俗化度 7  ―凱旋門が見守る郷士集落―






 集落を象徴する凱旋門


 
 鹿児島湾に注ぐ蒲生川の支流・山田川に沿った内陸部にある山田地区。鹿児島藩の外城の一つであり独特の麓と呼ばれる郷士集落が形成された。寛文4年の『郡村高辻帳』によると帖佐郷のうち5ヶ村が山田郷として成立、山田村はその後下名村・上名村に分村した。現在も中心地区の字は下名と呼ばれている。
 この集落の知名度を高めているのは、全国的にも珍しいといわれる石造の凱旋門があることだ。この凱旋門は日露戦争に従軍した山田村出身者の帰還を祝って明治39年に建てられたもので、当時鹿児島が誇る石橋技術を用い、アーチ式の構造で3m超のスパンを有した本格的なものだ。建立から100年余り経過した今も特に損傷もなく、年月を経た風合い・風格をを感じさせる。少し高いところから見ると、集落が凱旋門に見守られているようにも見えた。
 集落は山田川右岸の平地に展開し、小規模ながら整然とした麓集落らしい佇まいを残していた。風化しツル性の植物に覆われた石垣が連なり、瓦を葺いた門を持つ屋敷もある。凱旋門から続くやや太い筋から何本かの路地が巡り、石垣や生垣、一部には石柱門を構えた屋敷もあり、もと武家町らしい格式を感じさせる佇まいであった。

 

  

 


石垣と生垣が配された集落内の風景




 


 

訪問日:2020.01.02 TOP 町並INDEX