加茂の郷愁風景

京都府加茂町【商業町・川港町】 地図
 
町並度 5 非俗化度 7 −木津川とともに発展した町−


 加茂町は府の南端、関西本線の快速の終点となっており、交通上京都よりも奈良や大阪との関連性の強い地域である。大規模な住宅団地も造成されている。
 一方で木津川に近い旧市街には古い町並を従えた地区が現在も残っている。町の興りは中世にまで遡り、鎌倉期の後半には荘園をもとにした市場が立地していた。それは木津川の舟運の拠点であったことが大きく、既に畿内との物資の交流が盛んに行われていた。


袖壁の町家が多く見られる加茂の町並




 

 船問屋が多く存在していた江戸時代には舟運を独占するものもあらわれ、薪炭や茶、陶器などの産物を上方に送り、生活物資などを帰り荷として積載した。有力な商家も出現し、造り酒屋などの醸造業、また特産として襖紙の生産も主要産業として発達した。西側の木津が川運上の一大拠点であり、また主要街道沿いでもあったため、繁栄の度合はそちらに水をあけられていたものの、河港としては勝るとも劣らぬ規模を持っていたという。
 旧市街地が川に近い地区に展開していることもそれを証明しているようだ。切妻平入りで袖壁を連ねた町家がある程度のまとまりを持って残り、また伝統的な構えの酒造家もある。国道は川から離れた地区を短絡し、また大都市圏からも距離があったことから抜本的な開発の波を受けなかったことが伝統的な町並を今に残す結果となったのだろう。
 本格的な保存活動を行うほどの質量ではないが、ささやかでも地域の方々が認識されることにより、面影を保ち続けてほしいものである。
 
  









訪問日:2012.07.15 TOP 町並INDEX