発志院町の郷愁風景

奈良県大和郡山市【農村集落】 地図
 町並度 5 非俗化度 10 −豪農を思わせる邸宅と路地・水路が形成する集落−

 




 大和郡山市発志院町は市域の東部、周囲を田園に囲まれた位置にある。
 地名としては鎌倉期から見える。太閤検地の折には、興福寺領であることが記録されている。人口169・家数35で牛12、ほとんどが農家だったと思われるが牛博労・桶屋・大工が各1とある(大和郡山市史)。特産は菜種、綿などであった。
豪農を思わせる邸宅も見られる発志院町の風景  
 

 
 国道沿いはチェーン店などが建ち並び、個性のない全国画一の幹線道路沿い風景が展開しているが、枝道を経てこの発志院町の集落を眺めると、主屋・付属屋など複数棟が塀に囲まれた邸など重厚な外観を示している。両者がすぐそばに近接しているのが少々滑稽にも感じる。
 集落の外郭に用水が流れているのも農村集落らしい。西1km余りのところに環濠集落として知られる番条町があるが、こちらは環濠はなく単なる農村集落だったようだ。建て込みの中に入ると、軽自動車がようやく通れるかといった小路に沿い密集した家並が展開する。主屋・土蔵ともに板壁に覆われた姿が多いのも特徴といえるだろう。長屋門を思わせる厳かな門を持つものも見られ、豪農を思わせる姿であった。
 この一帯には発志院町のみならず田園地帯の中塊村的に散在する集落が多く見られ、伝統的な建物で構成されたところは他にもあるものと思われる。
 










 


訪問日:2020.09.19 TOP 町並INDEX