矢祭(仲町)の郷愁風景

福島県矢祭町<宿場町・街道集落> 地図  
 
町並度 5 非俗化度 10 −棚倉街道 奥州南端の宿駅−
 



上関河内(旧仲町宿)の町並


 水戸城下と奥州とを結んでいた棚倉街道をほぼ踏襲している国道349号線。常陸太田の市街地から北上すること30kmで明神峠を越えると福島県となり、いくつかの街道集落が点在している。ここでは宿場町でもあった仲町(現地名表示では上関河内など)の風景をレポートする。
 東北地方の最南端に位置するこの地区は峠を隔てているが久慈川水系であり、地図の上では北関東の延長のようなところであるが、展開する家々にはトタン葺の姿も目立っており、町並の風景から受ける雰囲気は異なるものがあった。
 磐城側からは常陸太田街道とも呼ばれたこの街道は奥州各藩の参勤交代時の通行、年貢米の輸送路、さらには水戸城下と塙、棚倉、白河さらには会津とを結ぶものであり、奥州各地の外様大藩を牽制する役割を持ち、政治的・軍事的にも重要なものであったという。
 峠下の大
(おおぬかり)宿からそれほど離れていない位置にある。1.5車線の国道を走っていると突如出現する集落で、一見して古くからの街道集落であることが認識できる町並だ。先述したようにトタン屋根が目立つ中で、入母屋の見応えのする形を示したものが多く、それは宿場町とは言えども隣地と土地の余裕があり、間口によって課税されるといった主要街道並の制度も適用されていなかったのかもしれない。
 訪ねたのは新緑の頃で、緑濃い中に展開する街村といった風情もあったためか牧歌的な雰囲気を漂わせる旧宿場の町並であった。
 






訪問日:2014.05.04 TOP 町並INDEX