福岡県八女市<商業都市> 地図 町並度 7 非俗化度 5 −古くから様々な手工業が発達した町− |
八女市は良質の茶の産地として知られ、何県に属しているかわからなくても名前だけは知っているという人が多いだろう。筑後平野南東部に位置しており、一時的ではあるが城下町でもあった当地は、その後手工業が主要産業となり、中心の福島地区には色濃くその面影を家並に留めている。平成14年5月に重要伝統的建造物群保存地区となった町並は、活気に満ち溢れている。 | |
福島の町並。近隣の中でも際立って大規模な 町家が多く、繁栄を物語っています。 |
無料公開されている旧木下家住宅(屋号堺屋)。代々続く造り酒屋でした。 |
灯篭人形開催日の町並では人力車が巡ります。 |
産業が発展したのは、石や木材などの素材に恵まれていたことや、農家が豊かでこうした副業への投資が容易だったことで、地場産業を育む条件が揃っていた。今でも町を歩くと、提灯・灯篭・仏壇・石工品・雛人形など各種の店が多数見られ、それらを眺めているだけで楽しい散策となる。しかもその多くはどっしりとした妻入りで、側面に錣(しころ)庇を従えた古い姿を継承している。 この町は伝統工芸を生かした祭がまた多い。秋分の日前後に行われる福島八幡宮の灯篭人形は、山鹿の大宮神社から奉納燈籠をもらい受け、江戸時代半ばに福島町民が独自の工夫をして人形の燈籠を奉納したのが始まりだといわれている。また3月一月にわたって繰り広げられるぼんぼり祭では、雛人形のふるさとと銘打つ町らしく、あちこちの町家に人形が飾られる。私が訪れた一度目は灯篭人形の日にあたっており、貴重なからくり人形芝居を見ることが出来た。町は雑踏していたが普段公開されていない町家の内部も特別に拝見できる。 重伝建指定後の2度目は、雛祭の開催中であったがちらほらと観光客が散策している程度でほぼ普段の姿を見ることが出来た。まだ日が浅いためか観光客を相手にした店舗等もそれほど目立たず、好ましいたたずまいであった。ただし国の補助を受け改築中の建物も幾つか見え、次第に外部を意識した色が濃くなっていくことが予想される。保存のあり方、訪問客へのアピールの仕方、そのバランスは崩さずにあってほしいと願いたい。 |
まだまだ俗化度もそれほどでなく思いのままの散策が出来ます。左下の画像に見られる民家の側壁のうろこ状の模様は飾りではなく、水害に備えたものとのことでした。 | |
訪問日:2001.09.24 2003.03.23再取材 |
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