柳本の郷愁風景

奈良県天理市【陣屋町・街道集落】 地図
 
町並度 6 非俗化度 8
 −柳本藩の陣屋により発達した町−
 





柳本町の町並




岸田町の町並




柳本町の町並
 

 柳本町は天理市の南部、桜井線の沿線にある。奈良盆地の東縁で東側には山地が望まれる。
 古代から楊本(楊は柳の異体字)の地名が見え、荘園そして楊本城が築城され、楊本氏の支配するところであった。
 江戸時代に入ると柳本藩が成立し、寛永期には藩主織田氏による陣屋が置かれ、町場が形成された。当所には奈良盆地の主要街道である上街道が通過しており、そうしたことからも町が発達しやすかったこともあるだろうが、大和有数の規模を誇る村であったという。東組・西組・南別所村等5ヶ村に分けられ、総称として柳本郷と呼ばれることもあった。
 1万石ほどの小藩であったが家中屋敷、武家町など城下町並に整備され、一方で上街道沿いは商家や庶民の住まうところとされた。度々大火や地震などの災害を蒙ったが藩は明治維新まで存続し、上街道沿いの政治の拠点、そして主要な商取引の場ともなっていた。
 明治初期の廃藩置県の移行期には一時柳本県も存在したところだが、現在は陣屋町としての遺構は淡く街道集落としての面影が主なものであった。しかし伝統的な町家建築が多く残り、塀と門を構えた本格的な商家も散見される。枝振りのよい老松が枝を街路に張り出させているのを見ると、もしかすると江戸の頃の陣屋や街道が現役であったころから町を見て来たのかもしれない。
 北に隣接する岸田町付近まで約1kmにわたって連なる町並は陣屋町として栄えた町の規模を感じさせた。
 
訪問日:2012.07.15 TOP 町並INDEX