柵原の郷愁風景

岡山県柵原町<産業町> 地図  <美咲町>
 
町並度 3 非俗化度 8  −吉井川中流域に展開する鉱山の町−




 吉ヶ原地区の町並


 柵原は鉱山で知られていたところで、硫化鉄の採掘が明治から戦後にかけて行われ一大産業となっていた。
ここを起点に片上(備前市)まで敷設されていた片上鉄道(廃止)は客扱いも行われていたが、主目的は鉱石を運搬するためのものであった。
 美作国に属しており江戸期は津山藩領の時期もあったが、甲斐国甲府藩領の時期が長くその点が特筆される。吉井川の流域にあったが、幾つかの村で高瀬舟が運営されていた程度で取立てて商業が発達したという歴史は見られず、また主要街道沿いでもなかった。この町の一番の発展は、やはり鉱山町としての姿といってよいだろう。
 しかし現在では町並としては労働者住宅などの遺構よりも、吉井川に近い位置にある吉ヶ原地区に街道集落とも農村集落ともつかぬ様相の風景が展開しているのが目立つ。連続性は低いものの、土蔵を従えた姿や入母屋の立派な屋根を持つものも幾つか見られる。メインの道路は吉井川の堤防上にあるが、以前はこの街路がその役割を果たしていたものと思われる。
 この吉ヶ原の歴史については今ひとつ不明であるが、鉱山で発展する以前より在郷町または街道上の農村集落として立地していたことが伺える。そのため町並分類としては、鉱山の繁栄を尊重し産業町としておく。
 町並から少し外れたところに旧片上鉄道の吉ヶ原駅がある。駅舎は保存状態がよく、また有志により当時走っていた客車や気動車などが構内に保存され、休日には客を乗せて試運転を行っている。また構内を出外れたところには鉱山資料館があり、柵原鉱山の歴史を知ることができる。
 
 








旧片上鉄道吉ヶ原駅

訪問日:2012.10.08 TOP 町並INDEX