八百津の郷愁風景

岐阜県八百津町<在郷町・河港町> 地図
 
町並度 6 非俗化度 10  
−木曽川最上流の港町 物資が集結し一大商業町となった−




芦渡地区の町並




八百津本町の町並





 八百津は木曽川中流域に沿って町が展開しているが、渓谷部から谷口への接点にあたるところにあり、津という名が付くのが訪ねると納得できる。黒瀬湊と呼ばれた川港は木曽川では最奥であり、その分後背地も広くより多くの物資が集積した。木曽谷方面からも多くの産物が船に積み込まれ、特に伊勢神宮の遷宮時に木曽で産出される御神木がここから舟運によったことがよく知られ、近隣住民もわざわざ見に来るほどであったという。
 黒瀬港周辺は各種商業が盛んに興った。台地上の平地が木曽川にせり出し、本流が蛇行しており港そして背後の市街地を発達させるに適した地形でもあったようだ。和紙や薪炭、味噌、煙草などを扱う商家が建ちならび商業町を形成していた。
 江戸期から明治にかけて東濃地方の一大中心地として隆盛を極めた八百津の町も、今では小さな田舎町だ。決定的であったのが幹線交通、特に鉄道の開通であり、物流の動脈は木曽川から中央本線や高山本線に取って代わられた。
 町を歩くと間口の広い大柄な商家建築が眼につく。流石、一大商業町であっただけある。多くでは袖壁が設けられ、一部には本うだつも見られた。また土蔵も裕福さを象徴するような重厚さをもってあちこちに残っていた。
 商業町の中心は現在の本町界隈であるが、東側にある芦戸地区にもある程度のまとまりがあった。付近は土地が一段低くなっており木曽川の本流が身近に感じられる。
 
 



訪問日:2009.07.20 TOP 町並INDEX