安来の郷愁風景

島根県安来市<港町・商業都市> 地図
 町並度 5 非俗化度 9 −中国山地の鉄の積出し港−





町並としてはほとんど知られていない安来の家並。確かに旧家が圧倒的に連続しているわけではありません。
 でもこのような古い建造物に意外と存在感の感じられる町でした。

         

古い建造物にはほとんど全てなまこ壁を意匠に取り入れており、漆喰を塗り込んだ蔵造り風のものが多いようです。屋根は石州瓦と黒瓦が半々程度でした。

               

国道より北側の港に近い地区。小路にも味わいがあります。

 島根県の最東端、米子市に接する当市は、現在は人口3万人程度の小都市に過ぎないが、古くは鉄と米の積出し港としての歴史を包含した町である。一般的な印象は安来節で、何県にあるか知らない人でも一応名前だけは知っているという方が多いだろう。
 中国山地は良質な砂鉄の生産地であった。安来市に流れる飯梨川(富田川)は、
これら産物を運搬する貴重な手段として活躍、それは現在でもこの地が鋼の町として工業が発展している証であろう。
 国道9号線で松江側より飯梨川を渡り、JRの安来駅の辺りまでがかつての安来の中心である。国道沿いにも僅かに厳かな構えの割烹など、古い町の匂いを嗅がせる。この西小路・東小路町付近より南北方向の街路、つまり町中より港までの道筋には、漆喰を塗り込めた旧家が散在し、一つの町並的景観を残している。商店街、または近代的住宅街なのだが、それらの古い建造物が町並を引き締めている。
 国道より海側には港町独特の狭い路地が巡る地区もある。港町としての町並がこの町の顔だが、近代は山陰道の要衝にもなり、近隣の物資の集散地として発展していった。

 

訪問日:2002.03.24 TOP 町並INDEX