安井宿の郷愁風景

鳥取県八頭町<宿場町> 地図 
 町並度 4 非俗化度 10  −若桜街道の宿駅−







安井宿の町並
 

 県の東部、鳥取市で日本海に注ぐ千代川の支流八東川沿いの谷あいに安井宿の家並が開けている。国道29号線が県南東端の若桜を経て兵庫県とを結び、また旧国鉄若桜線が前身の若桜鉄道の沿線にある。
 鳥取城下から播磨への往還の要地にあたり、名の示すようにここには宿駅が設置されていた。元禄14(1701)年までは南側の徳丸に宿があったが、その廃止後享保7(1722)年に指定されている。翌8年には八東郡御制札場、同20年には馬継御札場がそれぞれ開設されている。鳥取藩主の参勤交代時をはじめ、播磨方面との物資の取引にとっても重要な幹線であった。因幡地方は、山陽方面とのつながりは備前よりむしろ播磨とのつながりの方が大きかったようである。
 明治に入っても近郷に先駆けて郵便局が35年に設置されるなど、この地区の経済・文化の中心として位置づけられていたようだ。
 町並は国道29号線の北側に残る。宿場町といえども土地にゆとりがあるためだろう、主要街道のように間口の狭い家々が密集した印象はない。むしろ塀に囲まれた厳かな邸宅が街道に面している姿もあり、商業町・在郷町としての雰囲気が濃い。
 屋根瓦は山陰独特の赤褐色の瓦に統一され、いかにもこの土地らしい町並風景だった。
 
 









訪問日:2006.07.30 TOP 町並INDEX