八幡の郷愁風景

山形県八幡町【在郷町】 地図  <酒田市>
 
町並度 4 非俗化度 10  −庄内平野北東部の在郷商業町−
 八幡町は庄内平野の北東部、東側の山地から流れ下った中小河川群が合流する位置にあり、北には鳥海山を望む。
 町の中心地区は遊佐町・酒田市との境で日本海に注ぐ日向川の支流・荒瀬川の左岸に開け、もと観音寺村と呼ばれていた。江戸期に入り、庄内藩域は最上氏、次いで酒井氏の支配下となった。
 


 
  八幡(観音寺)の町並 
 



 


 付近一帯の米は年貢米、商品米として川運で酒田に運ばれた。小規模ながら河港があったか、荒瀬川の右岸には在郷町が発達し、旅籠をはじめ酒屋、糀屋、質屋、古道具屋、絞油屋などが軒を並べ、市も定期的に立っていたという。付近の農山村では漆や蝋、木炭などが産出され、町場に集められ商売された。
 また特徴的なものに石油の採掘があった。江戸前期の享保の頃には先進地であった越後から技術者を寄越し、開発を試みた記録が残っている。以後も続けられたが、庄内藩の許可は得るも地元農民の反発などもあり本格的な産業とはならなかったようだ。享和元(1801)の鳥海山大噴火以後は廃れた。
 地図を見ると「町」という字があり、ここが在郷町的発展を見た地区と推測できる。実際歩くと直線的な街路に沿い、商家を思わせる大柄な建物、土蔵などが見られ、古い町並を残していた。多くは妻入りで、一部には入母屋の立派な屋根を持つものや、石造・木造の立派な支柱のある厳かな門を備えた旧家もあった。家並の展開は400mほどではあるが、古くから商業活動で賑わったであろうことを感じるには十分なものがあった。
 川向うの土手に立つと、小学校の校舎を挟み残雪の鳥海山が望まれた。
 
 

 

 



 
   

訪問日:2024.04.13 TOP 町並INDEX