住吉町の郷愁風景

三重県四日市市【歓楽街】 地図
町並度 4 非俗化度 8 −整然と区画された遊興街−





特徴的な建物が散見される住吉町の町並


 四日市市住吉町は市域の東端、川越町との境付近に位置し国道1号と同23号(名四国道)に挟まれた地区である。名四国道側からアプローチすると狭隘な道が連なり漁師町のような風情だが、橋を渡ってこの住吉町に入ると道は狭いながら意外にも整然とした区割となっており、明らかに成因は異なる地区のようだ。
 地図を見るとこの町域は港湾の埋立てにより造られただろうことがわかる。直交する街路もそれを示しており、現在は住宅街が展開している。
 それらに交じり特徴的な建物も見られる。長屋風の木造家屋が連なっているかと思えば、立派な格子が残り、玄関に銅板葺きの唐破風調のものが設えられた建物もある。それらが連続的に見られる箇所もいくつかあった。
 かつては住吉遊楽園と呼ばれる遊興の地であったといい、戦後になって刊行された案内書にも掲載されていたという。ただ無名に近いところであったらしく、いわゆる遊郭であったか花街であったかもはっきりとしていないようだ。しかし今に残る建物群は戦後の新興的な佇まいではないと思わせるような重厚な外観を有している。往時はこのような建物で占められ、多くの客を受け入れていたのだろう。現在は店舗はむろんないが面影は十分感じられる家並で、そのまま住宅として使われているものも多い。また地区の南側に巡る運河沿いには料理旅館も見られた。
 この系統の町は商家町や宿場町などといった古い町並系よりも、一般の関心度が高く訪問記も多い。ただこの住吉町については比較的少なく、知る人ぞ知るところのようだ。
 












料理旅館・朝明楼

訪問日:2020.07.18 TOP 町並INDEX