山手の郷愁風景

横浜市中区【洋館群】 地図
 町並度 5 非俗化度 3
 −開港後の居留地として発足した丘の上の町−
 










山手の町並 カトリック山手教会(S8・左上)横浜山手聖公会(S6・左下)
 

 山手地区は横浜市街中心を南から抱くように連なる丘陵上に展開し、閑静な邸宅街が広がっている。
 寒漁村だった横浜村は、幕末に米国その他諸国と締結された通商条約によりその玄関口となり、外国の商館が次々と建設され、また商取引を求めて国内の商家も集結し、港を中心とした一大商業地として急激に発達した。
 関内地区と並び、諸国の商人の居館が多く設けられたのがこの山手地区であり、現在でも洋館が多く見られ、横浜の町並のイメージを形成するものの一つとなっている。山手が居留地・住宅街として開発され始めたのは慶応3(1867)で、明治10年頃までにはその区割が完成していたという。
 関東大震災の折に壊滅的な損害を蒙ったため、現在は開発当初に建設された建物はほとんど残っていない。多くは昭和初期に再建されたものであり、純粋な居留地の洋館群とは言い難い。しかし緑濃い丘の上に洋風の建物が、十分な敷地の余裕を持って散見される風景は他では見られないものであり、この町並の存在価値はそこに十分見出せる。
 また北に接する元町方面からは多くの坂が山手地区とを結び、それらの坂道にも風情が感じられる。大都市の中にあって、この地区が今でも居留地時代の面影をとどめ、落着いた町並が残されているのも、丘の上という地形が幸いしていることは間違いないところだろう。
 




丘の上からは港風景が俯瞰できる

訪問日:2013.07.15 TOP 町並INDEX