博労町界隈の郷愁風景

鳥取県米子市<商業町> 地図
 
町並度 4 非俗化度 7  −馬の取引で栄えた商業町−

博労町一丁目の町並
 
 博労町付近は米子駅からもほど近く、境線で1駅のところにある。そういった地区にも加茂川沿いとはまた性格の異なった古い町並がある程度のまとまりを持って残っている。
 博労とは牛馬の仲買人をあらわす古い言葉で、馬喰、伯楽など異体字も含めこの地名はかつて牛馬市で栄えたところであるといってよい。ここも江戸時代には既に定期的に市が開かれていた記録がある。位置的に米子城下の入口にあたるところで、旧出雲街道にも沿っており、国道を挟んで西の糀町方面にかけて荒物や綿、麹、肥料、染物など各種商店が立ち並んでいたという。
 市街中心に近いところに唐突に現れる印象であるが、街道集落と解釈すれば納得がいく。実際伝統的な建物が見られるのは東西の街路沿いに限定されている。これが旧出雲街道なのだろう。
 特に眼を引くのが国道との交差点にある邸宅で、裏手に複数の土蔵を従えた姿が見られる。その他にも、切妻平入りの形をとった町家風の建物が見られ、連続した部分は少ないものの古い町並の体裁を保っている。糀町の景山屋は幕末頃には馬子方支配役を勤めた家で、最も界隈で賑やかだった辺りだそうだ。この糀町付近は、加茂川につながる水路があり港からこの付近まで通船可能だったといわれ、荷もしきりに上げ下ろしされていたのだろう。
 景山屋付近にささやかな案内板があり、若干外来者を意識した様子がうかがえるが。しかし、保存活動等も皆無のようで今後更新されてしまわないうちに、何らかの手を打っていただきたいものだ。
 




博労町一丁目に残る土蔵を複数従えた邸宅




糀町一丁目の町並 右は景山屋
訪問日:2015.09.08 TOP 町並INDEX