芳泉町界隈の郷愁風景

山形県米沢市<武家町> 地図
 
町並度 4 非俗化度 7  −城下郊外の郷士集落−







芳泉町の町並


 
置賜地方の中心・米沢は城下町として発展したところである。江戸期を通して上杉氏が米沢藩主として統治した。関ヶ原の役で西軍に就いていたため、石高を半分に減らされて移封(国替え)をさせられたのだが、かつての大量の家臣団はそのまま従えてこの地に移ってきたため城下町内のみでは彼らの居住地は賄えず、郊外に住まいを構えることを余儀なくされる者も少なくなかった。
 ここで紹介する芳泉町などの界隈は、南原地区と呼ばれその名残が見られることで貴重な町並の風景といえる。最上川の自然堤防上で、もともと原野が展開するばかりの土地であったから、生活も半農半士の質素なものだった。米沢は洪水の多い土地で、最上川に近い位置に住まわせ大雨の際には迅速に対応させるという狙いもあったという。城下に住むことが叶わなかったどちらかというと身分の低い家臣だったのだろうか。
 南北に連なる緑濃き道で、所々に武家の名残が見られる。茅葺きの屋根を持つものも多く、景観を特徴付けている。
 米沢の歴史や町並を案内するサイトを見ると、その歴史性の特殊さから市街地よりもこちらの方がメインで書かれているものも多いが、個別宅を示す簡素な案内板を見かけただけで静かな佇まいが展開している。
 最上川を挟んだ通町付近にも、小規模ながら郷士集落の残影が見られた。

 




通町の町並

訪問日:2015.09.21 TOP 町並INDEX