寄居の郷愁風景

埼玉県寄居町【商業町】 地図 
 町並度 3 非俗化度 8  −秩父地方と関東平野の結節点 荒川通船の拠点−





寄居の町並 左は現役の旅館


 秩父地方を流れ下った荒川が関東平野に出る場所にある町・寄居町。八高線が町を縦断、また東武東上線が小川町を経て池袋とを結び、さらに秩父鉄道が秩父盆地の各地と熊谷方面を結んでおり、いずれもローカル線乍ら鉄道の拠点駅となっている。
 荒川はここで扇状地を形成し、扇頂にあたるこの地にはいわゆる谷口集落が立地した。地盤は砂質であり稲作には不適である一方、麦・蕎麦・粟などの畑作には向いており、また桑も栽培され養蚕業も発達した。
 寄居には4・9の日に六斎市が立ち、物資の集散地として賑わった。その要因としては上流側に秩父地方を持つことと、荒川通船の拠点として重要なところだったことによる。秩父地方で切り出された豊富な木材はここで大型の筏に組まれ、大消費地江戸に流れ下った。
 また寄居は中山道の脇往還が通り、深谷・児玉・秩父・川越など各地に人馬の継立てを行った。
 寄居駅から南へ300mほど、やや広い街路に出る。これが恐らく旧脇往還沿いであると推測される。ここから東進して東武鉄道の玉淀駅に突当る辺りまでが古くからの町の中心だったのだろう。伝統的建物の比率は古い町並というほどではなく散見の域を出ないが、せがい造りの町家が数軒見られるほか、古い旅館も伝統的な構えのまま営業されている。他にも建物は古いものではないが旅館を複数見るのは、荒川水運の拠点であり中山道脇往還の拠点であったことの証明にも見える。
 商店街になっており、看板建築など昭和的な商店建築が見られるのも特徴であった。
 






 



訪問日:2018.06.09 TOP 町並INDEX