吉田山東麓の郷愁風景

京都市左京区【住宅街】 地図
 町並度 5 非俗化度 7 −山麓に密かに残る大正時代の高級住宅団地−

 




吉田山東麓(吉田神楽岡町)の邸宅群
 

 京都の市街地北東部に小高い吉田山がある。その西側には京都大学の敷地があり、東側は住宅地が展開している。古くは神楽岡と呼ばれ、神の降臨した地ともされていたという。
 この東麓に特徴的な住宅街が展開している。位置的には麓というよりは少し坂を上った中腹といった方がよいだろう。斜面を石垣で雛壇状に整地された宅地に建ちならぶ住宅群。こういうと近代的な住宅団地が連想されるところだが、実際のイメージは大きく異なり、伝統的建物の連なりがある。しかしながら建物の外観は団地のように規格化されているように見える。
 この邸宅群は、大正末期に大阪の豪商によって造成された非常に古い住宅団地で、賃貸住宅として京都大学の教官や職員など、地位の高い人間や財力のある者を中心に入居していたという。町家建築に近い外観からは、現在の住宅の規格からしても上質なものを感じる。大文字を正面に見る小高いところにあり、高級住宅街だったことが伺える。
 この宅地に向かう坂道には、一部に石畳が残る箇所がある。恐らくそのすり減り具合造成時に施工されたものと思われ、その姿からも高級邸宅街として造成されたであろうことがわかる。
 バス通りなどからのアクセスがわかりにくく、知る人ぞ知るといったところなのだが、検索するとその辺の古い町並などよりは多くの記事がヒットする。やはり都市部にあって独特の家並の雰囲気、その成立ちなどから関心を集め易いのだろう。
 











石畳の残る坂道

訪問日:2017.09.03 TOP 町並INDEX