湯西川の郷愁風景

栃木県栗山村【温泉町】 地図 <日光市>
町並度 3 非俗化度 4 −鬼怒川水系最上流部付近に展開する温泉街−






 
湯西川温泉街


 県北部の鬼怒川水系上流域には数多くの温泉地があり、訪れる客も多い。ここで紹介する湯西川温泉は支流湯西川沿いの狭い平地に展開し、北は福島県を控える険しい山地となっており、秘境といってもよい立地である。しかし野岩鉄道の最寄駅は東武鉄道の列車が直通し、そこからバスに乗り継いで比較的安易にたどり着くことが出来る。
 温泉の発見は16世紀半ばの天文期に遡るとされるが、当分の間は数軒の湯治宿があるだけのところであったという。温泉街が形成され訪問客が増えたのは戦後になってからと新しく、中心街では飲食店や土産物屋等が見られ、周囲には大型の観光旅館も複数建てられている。
 湯西川沿いのあちこちから湯が湧出しており、旅館裏手に露天風呂の連なる風景もあり、またいわゆる野湯もあるなど温泉地らしい佇まいを示していた。
 ここを訪ね泊ったのは、湯西川沿いに茅葺の建物が並ぶ情景があるとの情報をサイトで得たことも大きかったのだが、訪ねてみてもそれらの家々が見当たらない。宿の人によると20年近く前に金属製の瓦に葺きかえられたとのことであった。そのサイトの写真はそれ以前に撮影されたものなのだろう。しかし屋根は葺きかえられたといえ古い建て方の家屋であることに変わりなく、一部は旅館として現在も現役で数少ない趣深いところであった。
 温泉街の歴史の件もあり、古い町並としての掲載にやや抵抗はあるものの、宿泊したのも昭和レトロ的な趣のある旅館でもあったことで予定通り載せることとする。
 なお平家の里なる観光施設が温泉街の外れにあり、落人集落との伝説がこの湯西川にあるが、あくまで伝説に過ぎず確証があるわけではない。その他冬にはかまくら祭が行われ、下流側のダムでは水陸両用車の乗車体験ができるなど、観光に力を入れた温泉場となっている。
 




川沿いに並ぶ寄棟の家々 かつては茅葺で現在も一部旅館として営業されている




湯西川温泉の旅館 川沿いに旅館の露天風呂が連なる風景



訪問日:2019.04.30・05.01 TOP 町並INDEX