小浜の郷愁風景

島根県温泉津町<港町・商業町> 地図 
 町並度 5 非俗化度 9 −温泉津湾奥の商港−
 








 小浜地区の町並 造り酒屋を中心に路地風景 商家の建物が多く残っている


 温泉津町小浜地区は山陰本線の駅付近から集落が始まり、海岸付近まで東西500m、南北300mほどの広がりを見せている。温泉津湾は日本海から約1kmほど細長く入り組んでおり、その最も奥に位置している。
 江戸時代は大森代官所領で、幕府の直轄地であった。大森の銀は主に山陽側に陸送されていたが、ここから船で積出されるものもあり、重要な港津として位置づけられていた。漁業や廻船業に携わる者が多く、街場が発達した。温泉津が旅館街、湯治場の機能を持っていたのに対し、こちらは純粋な港町・商業町であった。海を相手の商売という面では、温泉津ではこちらのほうが主であったのだろう。
 この町の象徴は中心部にある造り酒屋だ。「開春」という銘柄で知られる若林酒造は明治初年建築という褐色の瓦に虫籠窓という伝統的な外観を示していて、古い町並風景に貢献している。この横手の路地に入ると土蔵や洋風建築などが残りレトロ感十分であるほか、駅から続く街路にも、商家であっただろう造りの町家群が連続性を保っている。温泉街よりも自然な古い町並という風情である。
 尾根をはさんで温泉津温泉地区と隣接しているが、町並景観的にそれぞれ異なることと、小浜地区が付属的な紹介にとどまってしまうことから別ページにて掲載した次第である。




訪問日:2014.05.31 TOP 町並INDEX