由良の郷愁風景

和歌山県由良町【漁村・港町】 地図 
 
町並度 4 非俗化度 8 −深い湾に抱かれ中世から発達した天然の良港−

       




里の町並
 

 
 由良町は県の中部で紀伊水道に沿い、深い湾口の奥に旧市街が開ける。古くは由良荘と呼ばれ、江戸初期の検地後には14の村で構成されていた。
 現在の市街地中心の西側に当たる網代は近世初期頃より漁村として発達、多くの漁船を有し網漁業が行われていた。18世紀頃には房総沖など関東方面への出漁も行われていた。また荷船も多く取扱っており、紀州廻船が盛んだった頃には、大型の廻船も寄港したとの記録がある。また幕末頃になると他諸藩の大型船が停泊することもあったという。
 由良川河口付近右岸に展開する中心市街地は網代と東側の里地区にまたがり、双方に伝統的な建物が見られるが、里地区では商家の建物が散見される在郷町的な佇まいであった。一方元港町・漁村であった網代地区では路地が支配し、両者の町並風景の印象はやや異なるものであった。もっとも網代地区では大正頃から埋立てが行われ、山裾の地区以外はそれ以後の比較的新しい街区である。それでも歴史を案内する小さな看板や、厳かな構えの旅館もあった。
 河口付近を渡る橋の上からは、新しい港に大型の貨物船が停泊しているのが見え、現在も港町として機能しているのを感じた。
 
 




網代の町並




網代の町並

訪問日:2015.12.29 TOP 町並INDEX