大浦・久津の郷愁風景

山口県油谷町<漁村> 地図 <長門市>
 町並度 4 非俗化度 10 −油谷湾に面する漁村集落−










大浦の町並 一部は斜面上に展開している



 県北西部、日本海に向って伸びる向津具半島には漁村集落が点在し、南岸は穏やかな油谷湾に面している。
 半島先端には砂洲によって油谷島と陸続きになった地形が見られ、付近に大浦と久津という二つの集落がある。
 大浦には承応3(1654)年に萩藩による船究番所が設置され、海上交通の取締が行われていた。また付近には高札場もあるなど交通・交易上の主要な拠点となっていた。また波穏やかな湾内は諸船の寄港には好条件であり、北前船の停泊もあり廻船問屋も存在していたと考えられている。
 漁業面では、大浦で中世より海女による漁が行われていたことが特筆される。江戸期以降戦後しばらくまで続けられ、最盛期には300人もの海女が存在していたという。
 両集落は1km余り隔てられているが、いずれも小さな入江を持つ集落ある。大浦の方が規模が大きく、一部では石垣を積んだ上に宅地が整備され、階段が巡る斜面上密集漁村集落の様相を示していた。
 久津は漁港を取囲む家並に割烹旅館の文字のある建物も見られ、小さな集落ではあるが廻船で栄えた過去を感じさせるような雰囲気を備えていた。集落内の寺には楊貴妃の墓とされる墓碑があり、観光案内標識なども設置されるなど売り出していた。




久津の町並
 


久津漁港の風景


訪問日:2019.06.16 TOP 町並INDEX