浜崎の郷愁風景

山口県萩市<港町> 地図
 
町並度 7 非俗化度 4 −萩城下の商港−









高い連続性を持った町家建築が残る浜崎の町並


 浜崎地区は萩市街中心部を構成する三角洲の北東端にある。城下の港として繁栄したほか、最盛期には西廻り航路の拠点となり北国からの商船が発着していた。それを受けてここは商家が連なり、諸国との取引を行う廻船業者、問屋が集結した。




 
 

 町場としては城下町より古く、三角州地帯では最も早く家々の集積を見たところである。
 萩の町並として一般に知られる武家町の風情とは異なり、町家建築が連続する商業町としての佇まいであり、近年次第に訪問者にも認知され始めているらしく探訪客の姿も多く眼についた。浜崎の町並は、ややもすると土塀といささかの旧家の印象だけとなりがちな萩の町並探訪に変化を与えてくれるものである。
 平成12年に重要伝統的建造物群保存地区に指定されたことを契機に町家群の整備が行われており、以前よりずいぶん外観的に整えられた町並となっている。
 藩主の御座船を格納した御船倉もかつては4棟存在していたという。昭和30年代までに多くが取壊され今では一棟が残存するのみとなっているが、このことだけでも浜崎がいかに重要な港であったかがわかる。
 町並は東西のメインの街路に沿い背の低い2階建ての町家が連なっており、そこから派生する多くの路地に港町らしい風情が感じられる。藤井家は屋号白根家、海産物問屋であった旧家で正面には大戸と蔀戸を構える。斎藤家は棟札から安政三年の建築とされ、坪庭は太鼓橋が架った優雅なものという。町並中心の角地に母屋と土蔵を見せる山村家は昭和初期まで船具商を続けていた商家。その他、両替商であり町年寄も務めた須子家など、伝統的な建造物が多く見られる。
 武家屋敷街や松陰神社などの定番の名所にこの浜崎地区を加えることで、萩の訪問に厚みが増してくると思う。

 
訪問日:2002.11.23
2013.03.24再取材
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