富山県井波町<門前町・産業町> 地図 <南砺市> 町並度 7 非俗化度 4 −瑞泉寺の門前町− |
瑞泉寺で知られる井波町は砺波平野の南部にあり、緩やかな扇状地上に町が展開している。この瑞泉寺は、京都本願寺直系の浄土真宗の寺院で、中世には蓮如による真宗の布教活動もあって信者が爆発的に増し、越中における浄土真宗の拠点として現在まで長らく位置づけられている。政治権力を持つほどとなったことから度々戦乱に巻き込まれ、一時は壊滅させられたが、江戸時代の復興により本格的に門前町が形成された。 |
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門前町の町並 | |
瑞泉寺門前の町並 |
その再興の際、本家の京都の大工を多数派遣し、その建築技術を多く学んでいる。特に今でもこの町の伝統産業として息づく彫刻(木彫)は、この瑞泉寺の再建がきっかけとなって広まったものだ。なるほど今瑞泉寺の山門その他を見ると、その怪奇ともいえる彫刻模様に驚かされる。建築物という域を超えた物を感じる。今でも地場産業として確定的な地位を保つ彫刻は、この瑞泉寺の建築群を訪ねることでその起源を間近に見ることができる。 町場としても在郷町として認められ物資が集積し、商売を許された。年貢米の収納所も置かれている。また養蚕も盛んで、一時は加賀藩内最大の絹織物生産地であった城端に迫るほどの生産量があった。 瑞泉寺の山門前から一直線に門前町の町並が展開する。山門に向け緩やかに登り勾配になっているところがいかにも門前の町並らしい。そして、それらの建物は伝統的な建築物で構成されていて、平入り切妻造りの中二階建てで、袖壁を有し、軒庇には古色蒼然とした幕板が設置されているものもある。この幕板には雨風や雪を防ぐもの、または祭礼の時の装飾を取り付けるためのものなどと様々な説があるが、門前町という性格上、もしかすると後者の目的だったのか。 特に山門から200mほどの範囲は商店の構えも立派で、重要伝統的建造物群保存地区にも匹敵する質量を持つ。この区間は舗装も石畳調となっており門前の雰囲気も高まる。しかしそこから先も各種商店や町家風の建物などの家並が続き、門前町としてはかなり規模の大きい町並展開を示している。木彫の町らしくこの地域の他の町に比べ木材が贅沢に使われているようで、軒庇の板材も太い。中には屋根裏の出桁より金具で吊られ、信州木曾路の町家を思い起こさせる家屋もあった。 再訪の今回は門前の伝統的な旅館に宿泊し、翌早朝に町を歩いた。6時に聞こえて来る寺の鐘もあいまって、特にこのような門前の町並は早朝に厳かさを増すように感じた。 |
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瑞泉寺と付近の町並 | |
2023.07再訪問時撮影 旧ページ |
訪問日:2005.10.10 2023.07.16・17再訪問 |
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