岩村の郷愁風景

岐阜県岩村町【城下町】 地図 <恵那市>
 町並度 7 非俗化度 3  −日本一の高所にある山城の城下町−





岩村の町並 この上町付近は訪問客向けの構えが少なく濃厚な古い町並が見られる
 

 
ここ岩村町は現在では東濃の山間部に位置する小さな町に過ぎないが、古くは鎌倉時代に築城された岩村城に由来する城下町である。高取城(大和)、松山城(備中)と並び日本三大山城に数えられ、標高711mの山頂にある城は日本で最高所に築かれた城である。
 城下町は慶長6(1600)年に松平家乗が来封した頃に整備された。城山の麓に武家町を置き、町を東西に流れる岩村川の南側に町人街を配備した。武家屋敷等の遺構はほとんど残っていないが、町人街は比較的その姿を残しており、この本通りの沿道が重要伝統的建造物群保存地区に指定されている。古い町並は明知鉄道(旧国鉄明知線)の岩村駅に近い辺りから国道363号を越えた本町・上町界隈まで1km余りにわたって続いている。
 城下ではここに住む町人のみに商売が許されたことで、この本通りでは豪商の家が数多く残る。町並のほぼ中央、勝川家は屋号松屋とよばれた材木商で、一般公開に向けて特別無料公開されていた。江戸末期には所有する山林から伐り出された材木を保管する木蔵が、町内のみならず町外にもあったという。幕末にはその財力により逼迫した藩財政を支えたともいわれ、広い中庭に数棟の土蔵も有し岩村を代表する豪商の一つであった。また、なまこ壁の風情ある小路風景を造りだしている木村家は問屋職を勤めた家。その他多くの町家は中2階で、全面格子窓を採用している。本通りの外れの加納家は岩村では数少ない漆喰塗り込め土蔵造りで、中2階部には矩形の採光窓が並ぶ独特の造りは、火縄銃を製造した鉄砲鍛冶の家である。
 古い町並としては公開された建物のある界隈は他にも店舗などが目立ち外向きの構えであるが、北側と南側はその色合いが淡く、町家の質も高く見応え感のある町並が連なっている。

 
 








 近年、女城主の城として知られる岩村城を訪れる客が増加しているが、この城下の町並も訪ねる価値が高いものがある。公開された旧家などをめぐり岩村城も訪れるとなると、半日は確保したいところである。
鉄砲鍛冶だった加納家




訪問日:2003.05.04
2017.07.17再取材
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※2017.07再訪時の画像

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