亀山(西町界隈)の郷愁風景

三重県亀山市【城下町・宿場町】 地図
 
町並度 6 非俗化度 5 −亀山城を取囲む旧東海道沿いの町並−

 




坂道に連続した町並風景の見られる西町界隈
 

 県のほぼ中央部北寄り、滋賀県に接する位置に亀山市はある。関西本線と紀勢本線の分岐する所であり、また伊勢自動車道、国道1号線が通る交通上の拠点となっている。古くは旧東海道の宿駅が設けられたところである。
 宿場町以上に古い歴史を持つのが城下町としての顔で、現在の城址の位置に建設されたのは16世紀末である。江戸に入ると関氏をはじめ城主が数々変転したが、後期に石川氏が入ってきてからは安定しそのまま明治維新を迎えている。
 ここで紹介するのは西町界隈、城の南側を取囲むようなところである。町人町としてまた東海道沿いの街道町として発達した。旧東海道と城の外堀が並行している区間もあったようで、町並を歩いていると一部に復元された濠が見える。その内側は城郭の南西側、西の丸と呼ばれる区割であり、周囲には城下町時代を留める文化財も多い。中でも漆喰の土蔵と長屋門が見事な加藤家は亀山城の家老職であった家であり、江戸後期の建築とされるその遺構は町並風景上のアクセントとなっている。
 西町の旧東海道は界隈の中心で土地が低く、両側が台地面またはそれに向う坂道となり、起伏のある地形上に展開している。旧宿場町らしい家々の連続性が保たれており、中でも東町に向う上り坂は緩い曲線も伴い、古い町並として風情あるものであった。
 以前宿場町の東端に当たる本町界隈は訪ねていたが
(「亀山の郷愁風景」)、この西町界隈を訪ね忘れていた。位置もやや離れていることと、西町界隈は城下町的色彩が濃いことから、別枠として掲載するものである。かつての屋号が手造りの札で記され、玄関先に掲げられているのは本町の家々と共通する点だった。
 








加藤家の長屋門と土蔵
訪問日:2012.11.04 TOP 町並INDEX