第11号 (13.11.04.発行)

空家再生 アート茶屋 -東城の取組−
      
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東城の町並を代表する旧家 明治24年建築の母屋は入母屋つくりの堂々たるものである(国登録有形文化財)

 県北東部の東城の町。流域の特性から備中北部とも深いつながりを持ち、その名の通り城下町として発達したところである。砂鉄産業の盛んだった中国山地の繁栄に乗り、町場も大きく発達した。
 現在は典型的な過疎地域にあるが、それでも比較的大きな市街地を持ち、その古くからの中心では古い町並が展開している。
 この町は歴史や町並の認識度が高く、定期的にそれらを活用した催しが行われている。今回訪ねたのは、「まちかど茶屋」と題して旧市街地にある伝統的な建物を公開、あるいは店頭において様々な展示が行われる催しで、小規模ながら定期的に取り行われている。
 「三楽荘」として近年まで旅館を営んでいた伝統的建築を中心に、その模様をレポートする。
旧旅館「三楽荘」の豪勢で優雅な中庭 表通りからは想像もできない空間の広がりである
 

 この催しの中心となるのが旧市街の中央にある入母屋造りの旧家、少し前まで「三楽荘」という屋号で旅館を営んでいた。明治24年建築の母屋、同42年建築の離れを有し、それに囲まれた優雅な中庭を有する。この旧家は最初に訪ねた時から何度も目にしているが、内部を見学するのは初めてであった。一般にこのような商家建築は、表通りから見るのとは想像できないほどの奥行の広がり、豪勢さが隠されていることが多く、ここもその例に漏れなかった。多くの客室、広間からは中庭が見下ろされる。
 公開された当日、芸術品の展示、さらに客室や広間が昼食会場として使われ、会席料理などを味わう探訪者の姿もあった。




見学する参加者 広い土間がもと商家を物語るが 今参加者が立っている辺りには帳場があったという 上部には跳ね上げられた大戸が見える




1階のスペースや2階の客室の一部には焼物などの展示品が 一部は販売されていた






老舗の造り酒屋 内部では試飲や飾り物などの展示が行われていた
 

 この東城の中心街は周辺の国道沿いなどに郊外型の店舗も見られるが、今でも比較的現役の店舗が見られ、また一部では手を加えられ装いを新たにした建物も見られる。造り酒屋も2軒現存し、その内一つでは試飲も行われていた。
 店の守りをされていた奥様に色々お話を伺った。地方で酒屋を続けることの困難さよりも前向きな言葉が多く、頼もしさを感じた。ちなみにここで酒造に用いられている水は石灰岩質の台地から湧き出た水だそうで、ミネラルを多く含む硬水である。一般に日本酒は軟水で仕込むもので、硬水の酒は珍しい。そこで迷わず一本買って帰ったのだが、あっさりしたなかなかの味わいの良い酒であった。



地元の高校生などもスタッフとして駆り出され 小さな出店も開かれていた






臨時喫茶として店先を開放した老舗 展示品を陳列する店舗もあった 地味でささやかな印象の催しであったが 細く長く続くことを祈りたい


※取材日:2013年10月27日

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