岸和田の郷愁風景

大阪府岸和田市<城下町> 地図
 
町並度 6 非俗化度 6  −勇壮なだんじり祭りで有名な泉州の城下町−




紀州街道沿い本町の町並


 



 岸和田市は大阪府の南部、和泉地方に属する町である。南海電鉄の列車から岸和田城が見渡せる。天守閣を持つ本格的な城で、慶長2(1597)竣工と言われる。
 駅から歩いて15分の本町付近には城下町らしい伝統的なたたずまいが展開している。城郭の西側に南北に連なる街路はかつての紀州街道で、城下の一部でもあった。城の南側、現在の岸城町といわれる付近に武家町を置き、その西に位置するこの本町、魚屋町などは商人町、町人町であった。現在は海岸線は遠ざかっているがかつて海にも面しており、物資の集散地としても繁栄した。
本町の町並
 



 
 南町の町並 岸和田城の濠と石垣 
 



 
 岸城町の町並 長屋の連なる独特の町並風景も見られる


 旧家の特徴は切妻・平入りで中2階、虫籠窓を備え、桟瓦が目立つが一部に本瓦葺も見られる。また漆喰の塗屋造りでも黒漆喰に塗込られている姿も目立つのが特徴といえる。それらが高い連続性で残る一角もあり、大都市郊外にもかかわらず古い町並と呼ぶに十分な姿を残している。
 代表的な建物にはささやかながら歴史を記した看板が添えられており、探訪客に対応しているが外向きにはこの程度であった。今回はほぼ20年振りとなる再訪で、前回の解説文中に「新建材で格子などを改修された家や、外来者を受け入れる施設も新設されているようで、次第に外に目を向けられた町並になりつつあるようだ」との感想を記している。しかし今回歩いたところではそのような色は感じられなかった。それは地元の方々をはじめとした認識・意識の高さを示しているようだ。
 そのことが程度よく建物や町並が残る結果につながっているようだ。大きく注目されることは少なくても、町の代名詞ともなっているだんじり祭りではこの町家群の低い屋根をかすめて山車が引き回されるため、放映される映像の中でこの渋い家並を見た方も多いだろう。華やかな祭礼の背景には城下町時代以来の深い歴史をはらんでいる。

2022.11再訪問時撮影   旧ページ
訪問日:2003.07.13
2022.11.19再訪問
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