山形県銀山温泉の鏝絵



 



銀山温泉の鏝絵は屋根が掛けられた立派なものが多い。 「能登屋旅館」に見られる創業者の名を刻んだ鏝絵。隣の「旅館長澤平八」の2・3階の戸袋にも鮮やかな鏝絵が。


 




鮮やかな鏝絵が伝統的な木造建築に見事に調和している。 富士を表現した鏝絵。「内湯あ里(有り)」の文字もレトロ感抜群である。


 山形県尾花沢市の山間部、奥羽山脈の山懐に足を踏み入れようとする位置に銀山温泉がある。狭い谷間に木造3階建ての旅館が密集する非常に独特な温泉街だ。圧倒されるような木造多層建の旅館街は、大正から昭和初期にかけての洋風建築の色を取り入れようという思想と、大柄でありながら細部の意匠にまでこだわった姿勢が感じられる。
 中でも眼を引くのが各旅館の戸袋などにデザインされた鏝絵である。洪水被害によって、かつての茅葺屋根の旅館街が一気に木造高層旅館街に生まれ変わった当時、各旅館はその豪華さを競って鏝絵を掲げたのだろう。これほど集中して鏝絵が見られる土地は珍しいといえる。
 






ほとんどの旅館には複数の鏝絵が見られ、そのうち一つにはこのように屋号や創業者の名が刻まれている。

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