阿賀の郷愁風景(1)

広島県呉市<漁村・商業町> 地図 
 町並度 4 非俗化度 8 −裏小路にかつての繁栄の蓄積を見る−

 



 
阿賀中央8丁目の町並 


 現在の呉市中心より東側に山を一つ隔てた阿賀地区は、川を挟んだ東側の広地区がに挟まれてやや地味な印象である。最近になって市街地へ抜けるトンネルが整備され、国道は交通量が非常に多い。
 平地に乏しく、北側は斜面をかけ上げるように宅地が造成され、南側はかつての海岸線に沿って細長く集落が展開する。現在安芸阿賀駅のあるあたりから南側は埋立てによって造成された土地である。
 その中で南側の町の風景を取り上げるが、バスなども通る二車線道路の西側にかつてのメイン道路、現在の生活道路が南北に伸びる。その両側には一部袖壁や虫籠窓を残す町家風建築が所々に残り、銭湯などの生活色溢れる風景も見られる。特に南側の一角、メイン道路に合流する地点付近では部分的ながら連続性のある古い町並の風景があった。
 江戸期には賀茂郡に属し、半農半漁の村であった。特産品に紙の原料である楮、綿、蝋燭の原料である櫨、煙草などがあり、また漁師は近海漁中心であったが、魚問屋を営み他所に売りさばく者や、廻船業を営むものなども現れ単純な漁村から多少の発展をみた。
 今残る古い街の姿は、おそらく漁村というよりは各種産業、商業が栄えての名残なのだろう。但し狭い路地が交錯するのは漁師町らしく、町割りは漁村のそれらしい。車道からはこの町並の存在は隠れてわからないため、なかなか知られることも少ない町並である。
 以後何度か付近を歩いたが、当初のような町並が薄れてしまったようだ。訪ねる場所を間違えるはずはないので、建物が更新されたのか。数軒建て替わるだけで、かなり家並の様相は異なってくる。試しにと北側一帯に足を向けて見ると、そちらにも古い町並が展開しているのを改めて知った。所々に旧町名とそのいわれを刻んだ石柱があり、それによると中町・東町といった界隈で商業の中心であったという。商家を思わせる建物や、洋装の医院建築もあった。
 今回の更新は、それら北部地区に重心を置いて改めて紹介するものである。
 
 



 
阿賀中央8丁目の町並  
 

 

 阿賀中央9丁目 起り(むくり)屋根を持つ家屋が見られる  阿賀南5丁目の町並 
 

 

  阿賀南4丁目の町並 

2024.07再訪問時撮影     旧ページ

阿賀の郷愁風景(2)

訪問日:2014.01.19
2024.07.15再訪問
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