黒坂の郷愁風景

鳥取県日野町【陣屋町】 地図
 
町並度 4 非俗化度 8  −日野川に沿う小さな陣屋町−




黒坂の町並 左手前の建物には山陰合同銀行の文字が残る
 

 日野町黒坂は県南西部、日野川に沿うわずかな平地に町が開けている。
 今は小さな集落であるが、17世紀前半に関氏が鏡山に築城し城下町を建設した。池田氏が因幡・伯耆を支配するようになるまでの短い間だったが、政治の中心としての機能は残り、以後も鳥取藩の重臣が配置され黒坂陣屋として幕末まで続いていた。

 日野川の谷あいに沿う日野往来が町の中心を貫通していたこともあり人の集う地ともなりにぎわったのだろう、在郷町的に各種商家も立地し、明治初年の記録では大工12軒をはじめ檜皮職人7、旅籠屋5、魚屋4、医師3などとあり、その他紺屋や煙草屋、屋根職など各種の商人職人が存在していた。往来の人馬継立も行っており、宿駅的な機能もあったとされている。
 日野川左岸、ほぼ一直線の街路に沿って町並が展開している。山陰で優勢な赤瓦のほか、黒系統の瓦を葺いた御宅も多く見られる。国道に続く橋のたもとから伯備線の踏切近くまでおよそ500m、落着いた家並といった表現そのものの町並であった。中央付近に「山陰合同銀行」との文字が刻まれた建物が見られ、現在はガレージとして利用されているらしく一階部分が空洞となっていた。銀行として現役だった頃は、この町は今よりはるかに賑やかであったに違いない。歩いていると、何軒か旅館の名前の残る建物も見掛けた。
 町家・商家建築が主だが、厳かな門を持ち塀をめぐらせた邸宅もあり、陣屋町時代を思わせるものもあった。




   
 



 




2024.06再訪問時撮影       旧ページ

訪問日:2011.06.19
2024.06.25再訪問
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