大手・中央界隈の郷愁風景

長野県松本市<城下町・商業都市> 地図
 
町並度 6 非俗化度 2  -松本城南側に展開する商人町 繁華街も展開−



 

 大手四丁目(上土通)の町並
 

 

 大手四丁目の町並  中央三丁目の町並(木造三階の旅館建築)
 
 松本は広々とした盆地に位置し、飛騨山脈の峰々を眺める美しい城下町である。
 古くは深志と呼ばれ、城の名も深志城であった。中世に小笠原氏が伊那地方からこの地に進出してきて、井川城を拠点に現在の松本城の位置に支城を築いている。天文19(1550)年には武田氏の侵攻を受けたが、その後小笠原貞慶が城に復して、その折に松本城と改名された。
 城下町は城の北側を中心に武家屋敷を配置し、南側の女鳥羽側周辺の地域に町人街を設け多くの町家が建ちならんだ。ここでは城の南側の大手・中町付近を中心とした商業の町の姿を紹介したい。
 川の北側にあたる大手地区は四丁目などの東部に趣ある町並が見られる。城下町時代に遡る建物はないが商店や飲食店が多く賑やかなところで、映画館などの娯楽施設もあり、中には現役の劇場もある。新聞販売所、レストランや商店が洋風建築や看板建築の形のまま営業されている姿もあり、興味深く探訪することが出来る。付近が通称上土町と呼ばれているのは、松本城の東門前の馬出し堀の土を掘り上げた所に由来するという。
 女鳥羽川を挟んだ南側の中央2・3丁目付近は東西通じる中町通りに土蔵造りの棟々が連なり、市内では最も古い町並らしいところと言えるだろう。明治期の大火による復興により形成されたといわれ、今では多くが店舗として利用され、訪問客も多い。黒漆喰に観音開きの土扉のある外観は関東の町並を思わせ、一方で東部では城漆喰の中小規模の家々が連なり、西国とのつながりを感じさせる。東西双方の構えが見られるのも特徴である。外観に極力手を加えず往時のままの姿を尊重していることは評価に値する。散策する観光客が居なければ往時そのままの町並の雰囲気が充分味わえる。
 城の南一帯は伏流水にも恵まれ、あちこちに清水の湧き出る箇所がある。近年訪問客にも便利なように整備された箇所もあり、水巡りマップなども出されている。それらを辿ってみるのもまた興味深いものがある。

 

 

 中央三丁目(中町通)の町並 中央二丁目(中町通)の町並 
 

 

 中央三丁目(中町通)の町並 大手四丁目(東町)の町並 


 
所々にある湧水場 自由に利用することが出来る


2024.06再訪問時撮影          旧ページ


訪問日:2004.05.29
2024.06.01再訪問
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