路地裏コレクション(8)
 −虫籠窓−



 虫籠窓というのは主に漆喰の塗屋造りと呼ばれる町家建築の二階部分に、縦に格子状に開口部を設けた固定窓のことを指す。多くでは漆喰を塗り回され、窓といっても開け閉めできるものではなくささやかな明り取りや通風を目的としたものであろう。
 基本的に二階建てが禁止されていた江戸時代、貯えのある商家は物置のために二階の屋根裏を活用し、その立上りが段々高くなっていき窓の必要性が生じたのだろう。虫籠窓も初期のものは楕円形の小さいものが多かったが、明治の頃のものは矩形の大型のものに変り、その形からも建築年代が大雑把にわかる。
 格子や袖壁・うだつと並んで、古い町並の風情を色濃く感じさせるものの一つといえよう。
 虫籠窓の分布の中心は近畿圏で、中国・四国地方の瀬戸内地域、北陸や東海地方の一部でも見られる。



奈良県 05.12撮影  伝統的建造物保存地区内でも手付かずの虫籠窓が見られる


和歌山県 06.04撮影 虫籠窓は通常商家に多く見られる したがってこのように路地で見られることはとても珍しい 兵庫県 06.05撮影 木製の欄干との組合せ




兵庫県 06.05撮影 左右の虫籠窓の意匠が微妙に異なっているのが面白い 右は地場の造り酒屋の主屋で見かけたもの 




京都府 06.10撮影 虫籠窓と屋根を貫く木製看板 京都府 07.01撮影




滋賀県 07.07撮影 滋賀県 07.07撮影 バッタリ床几と虫籠窓の組合せ


滋賀県 07.07撮影 この小さな虫籠窓は何のために作られたか 小さな街灯との取合せが絶妙 広島県 04.10撮影 せっかくの虫籠窓なのに粗末に扱われているのが残念

岡山県 05.05撮影 様々な表情の虫籠窓が並ぶ


香川県 07.03撮影 間口の割にはやや控えめな虫籠窓


三重県 06.10撮影 近代的ホテルと虫籠窓町家の取合せ

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