仁方の郷愁風景

広島県呉市<商業町> 地図
 
町並度 3 非俗化度 8  −酒・醤油蔵が趣を醸す小さな町並−


 


 




造り酒屋と付近の町並



 呉市の中心から東へ10kmほどの位置にある仁方地区。中世は新潟村、仁賀田村などと呼ばれていて、戦国期は小早川氏の一族乃美氏の知行地であった。古名の「潟」が示すようにここは低湿地帯だったようで、その地形を生かして塩田が盛んだった。江戸期の『国郡志書出帳』によると戸数454で塩浜小屋10、塩釜屋12、塩坪24、塩納屋13とあり人口2,789と記録されている。また塩の商いも行われ、当地産のものに一部讃州・豫洲の塩を買い積み売られていた。その他の商品作物として櫨の実、薪などがあった。海に面するも漁業はさほど盛んではなく、製塩の余業として鰯網の製網、木綿織などが行われていた。
 また明治に入ると江戸の頃から家内産業だったやすり生産が盛んに行われ、現在も基幹産業となっている。
 現在の仁方駅の南側の平坦地はもと塩田であったところを干拓したもので、古い町の中心はその北側、国道185号線を挟んだ反対側である。造業・醤油醸造業も立地し、数軒の造り酒屋が今でも古い構えを保っている。
 旧市街は狭い路地が巡り、その一角に立派なナマコ壁の装飾を施した蔵元の佇まいがある。この周辺は商家の建物も数棟残り、古い町並と言える雰囲気を僅かに持っていた。しかし以前に比べると造り酒屋の土蔵や古い商家などの建物が取壊されて、徐々に面影が薄くなっているようである。
 
 

 

 

 

   
2024.01再訪問時撮影  旧ページ

訪問日:2002.02.26
(2024.01.07最終訪問)
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