小浜の郷愁風景(2)

福井県小浜市<城下町・漁村> 地図
 
町並度 6 非俗化度 7 −城下の外縁にあった漁村−






 下竹原地区の町並


 
 

海岸線の出入りの激しい沈降(リアス)海岸の続く若狭海岸にあって、この小浜は一段と入組んだ湾奥に立地して波も穏やかである。中世より南蛮船が象などを乗せて入港した記録もあり、東アジアの交易港としても広く知られていた。若狭の中心として深い歴史を刻み、今でも多くの寺社が残り観光資源となっている。
 江戸期になると城下町として町の体裁は整えられている。関ヶ原の役の慶長5(1600)年に京極氏が入部して小浜城を建設、その後武家屋敷地区、商業地区、漁業地区を区分けした厳然たる町割が行われた。幕末まで大きく変更されること無くそれは続き、現在でも街中を歩くとその名残を感じることが出来る。
 
小松原地区の町並



 



小松原地区の町並 




下竹原地区の町並

 
 ここで紹介するのは市街地の北外れ、小浜城址と河口を挟んだ反対側に展開する一帯である。小松原村や下竹原村と呼ばれ城下の外縁に位置する漁村であった。小松原村は地引網を中心とする網漁が藩より許可され、一方で下竹原村は一本釣や延縄などが行われていた。水揚されたものは小浜城下に納められていた。明治以降は漁業一本から若狭塗に携わる者が増えていったという。
 城下町に接する位置にあることから町並の風景は小浜市街地に残る古い町並と酷似した姿で、木枠に縁取られた袖壁、漆喰と土壁半々の二階部などが特徴である。漁村とはいっても小浜の商業町が延長されたような外観である。特に国道に並行する古くからの街道筋にはその色が濃い。中には床几が残された旧家もあり、商業が盛んであったことを示している。横道裏道に入ると漁村らしい路地風景が見え隠れする。
 中心市街地には広範囲にわたって古い町並が残っており、この地区にも影響が及んでいることは、若狭の中心としての小浜の大きな繁栄を物語るものと言ってもよさそうだ。
 
 
 
 

※文章の一部は「小浜の郷愁風景(1)」と共通です

訪問日:2009.08.15 TOP 町並INDEX