下諏訪の郷愁風景

長野県下諏訪町<宿場町・門前町> 地図 
 
町並度 5 非俗化度 5
 −諏訪大社の門前町、甲州街道との合流点にもあった中山道の大宿場町−

   
温泉旅館と商家が隣接する下諏訪の町並


 下諏訪町は諏訪大社のある町である。この神社の知名度に貢献しているのが7年に一度開催される御柱祭である。町内にあるのは下社で、諏訪市の上社と諏訪湖を挟んで対峙しこの奇祭は行われる。
 一方交通の面から見るとここは中山道と甲州街道(甲州道中)の接点の宿駅として大きく栄えてきた。諏訪盆地の中心であり、中山道も東に和田峠、西に塩尻峠をそれぞれ控えた位置にあったこと、温泉の湧く地であったこと、そして諏訪大社の門前町であったことなど、多くの集結要素を備えている。
 
当時の宿場は甲州街道との合流点である綿の湯付近が中心であった。本陣や問屋が備わり、巴に接する街道沿いに旅籠や商家が連なっていた。
 宿場内の街道は諏訪大社秋宮を頂点として山裾を巻いているため、意外に街路の起伏が大きい。街路の起伏が遠見遮断の役割を果せていたためだろう、鍵の手などと呼ばれる街道の屈折は設けられていない。木造2階建の古めかしい旅館に商家らしい間口の広い建物などが混在するが、あちこちに源泉があるらしく道端の所々に湯場があり飲泉などもできるようになっている。主要街道の宿場と温泉街が一体となっているところは案外少なく、独特の風情といえるだろう。特に江戸方に向けて下り坂となるあたりは現在も温泉旅館が並んでおり、旅行客や地元の方の銭湯的な役割も果しているようであった。中山道・甲州街道が幹線道で、さらに諏訪大社への参拝客が絶えない当時、この界隈の賑わいは相当なものだったのだろう。
 甲州街道との岐れ目にあった本陣岩波家は公開され、特にその庭の精緻な造りには感嘆させられる。宿場時代からの建物を利用した歴史民俗資料館も当時の宿駅の構造や暮しぶりも紹介され興味深い。
 諏訪大社と温泉街を含め、深い歴史に支えられた下諏訪宿の探訪は味わい深いものがある。
 




 
 中山道と甲州街道の分岐点付近




 坂道の温泉街




訪問日:2004.05.30
2018.09.24再訪問
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全て2018.09再訪問時撮影  旧ページ