白市の郷愁風景

広島県東広島市高屋町<市場町(城下町)> 地図
 
町並度 6 非俗化度 7  
−城下町から牛馬市を始めとした位置が発達 商業町となった−

 

 

 東広島市の東部に位置している高屋町白市地区。山陽本線の駅も設けられているが、古くからの町は北西1km余り離れた台地の上に展開している。
 中世に町の東側の城山に城が築かれ、その城下町として形成されたことが始まりで、以後白市は、市としての役割を色濃くしていった。地理的にも中国山地から山陽道、瀬戸内商圏への遷移地域でもあり、交通・商業の中継地として旅籠も存在した。
 旧木原家住宅(国重文)  


 


 
坂の上の尾根筋に展開する町並 
 



 
 伊原八郎家住宅(右) 飲食店として再利用される伊原惣十郎家住宅 


 江戸期の白市は、牛馬市、酒造業、製塩業などが存在し、1655(寛文5)建築の旧木原家住宅は入城していた平賀氏の分家で、酒造、製塩、両替など各種の商いを手掛けた。瀬戸内地域では最も古い建築年代の町家建築で重要文化財に指定されている。内部は公開されており曲った太い梁、礎石、店、座敷、納戸、居間などが保存作業を繰り返しながらも往時の姿を多く留めている。玄関の大戸口はくぐり戸ともなる防犯を重視した造りで、裏庭には井戸、半地下形式の水桶等が当時の石積のまま残る。
 白市は近隣同様、石州瓦調の赤瓦が特徴であるが、木原家は渋い黒本瓦であった。200年ほど前に赤瓦が導入される前はここも全て本瓦だったと聞く。
 町並の規模は小さく、木原家付近をT字の接点として東西の比較的平坦な通り、南に坂道の旧市場町が展開する。牛馬が驚くという理由で国鉄を迂回させたため、駅より離れて発展から取り残されたため残ったと言えよう。東西の通りにも豪壮な旧家が多く、特に通りを挟み向合う伊原惣十郎家及び伊原八郎家住宅は、明治から大正初期の建築で堂々とした構えを見せる。惣十郎家は現在飲食店として再利用されているが、極力原形を壊さないように心がけている姿勢に好感が持てる。
 地元は旧家や町並を意識して様々な取組をされており、講演会や町歩きなどのイベントも不定期で行われている。今後も途切れずに続けていただきたいものだ。
 
 



 
 木原家より南側の坂道に展開する町並  
 



 
  風情のある横路地  


※2022.07,2025.04訪問時の画像     旧ページ

訪問日:2002.03.21
(2025.04.12最終訪問)
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