大社門前の郷愁風景

島根県大社町<門前町> 地図 
 町並度 5 非俗化度 5 −
社家街も残る出雲大社の町






門前の町並 町家建築 造り酒屋が伝統的な姿を見せる


 全国でも屈指の参拝客を迎える出雲大社、そのいわれを解くと、紙面も足りないのでここでは本題に即し町並のことに絞って書く。
 出雲大社は杵築(きづき)大社とも言われ、門前町も西側と南側に大規模に立地していた。杵築二千軒と称されたこの町は街路集落をなし、中でも西へ向い稲佐の浜と呼ばれる日本海岸へ伸びる家並は1.5kmほども連なり、雁行するように通りに対して斜に並んだ家並は、逆に整然とした印象を与える。




現在も営業を続ける老舗旅館






 

 西側、南側の門前の町並の中にも、塀に囲まれた広い敷地を有する旧家の姿があちこちに見られ、いずれも社家か、神職に関与した家であることをうかがわせる。虫籠窓をつけた古い酒屋、古い旅館などが情緒を感じさせるが、連続した古い町並というほどではない。しかし家並全体に一見雑然としているようであっても、拭い清められたような統一感があるのは、やはり大神社の門前町であるからだろうか。
 南側は随分参拝客の往来が多く、観光地化された印象があるが、西側の門前町は素朴さが残され、落ち着いた佇まいである。そんな中に出雲そばの店舗が多いのに気づく。いずれも老舗らしく格式ある外観で、大社の門前の店舗という威厳を感じさせるものであった。
 神社本殿に近い位置には社家街があり、京都市の上賀茂地区などと並び全国屈指のまとまりを持っているという。特に社域の東側の真名井通りには、土塀が連なる社家街があり、この辺りは人通りも少なく静謐な神域を醸しているようだ。ここには国造を称する代表的社家の1つ、北島家の構えが厳かであった。




本殿近くには社家街が接する 左は代表的な北島家(2002.9撮影)


訪問日:2002.09.15
2014.06.01再取材
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※注記のある画像以外は2014.06再取材時撮影

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