龍野の郷愁風景

兵庫県龍野市<城下町> 地図
 
町並度 6 非俗化度 5  −川運に恵まれ商業も発達した播磨の城下町−




淡口龍野醤油資料館付近を中心に展開する龍野の町並
 姫路市の西約20km、揖保川沿いに展開する播磨の小京都とも呼ばれる城下町である。旧市街は姫新線の本龍野駅より川を挟んで西側、城跡のある小高い鶏籠山との間に開けた平地部分に開けている。
 龍野城の歴史は15世紀にまで遡るといわれる古い町で、1672年信州飯田より入封した脇坂氏の統治後、その城下としての位置付けは揺るぎないものになった。


煉瓦造りの淡口龍野醤油資料館


 この町は城下時代より産業が発達した。それは揖保川の恩恵なればこそのもので、鉄分の極めて少ない軟水を利用して醤油醸造業が栄えた。近隣には塩の産地である赤穂を控え、物資は川運にて、河口の港である網干港で集散したらしい。
 17世紀半ば、円尾孫右衛門により独特の淡(うす)口醤油の醸造法が確立された。町の中央部に残る菊一醤油造合資会社(現ヒガシマル醤油(株))の洋館風の社屋で淡口醤油のことを知ることが出来る。入館料10円のこの資料館では、珍しい米を使った醤油醸造の過程を詳しく学べる。
 また、当地は素麺「揖保の糸」の産地としても全国にその名を知られる。このような地場産業が今も途切れることなく続いていることは、揖保川の水、赤穂の塩、近隣の大豆や麦のおかげでもある。
 旧市街は城下独特で迷路のように入組んでおり、初めての訪問者は迷いがちになる。その中で町並らしいのは淡口醤油記念館周辺、如来寺近辺の水路と土蔵の風景、龍野城跡周辺の旧武家屋敷街の一角、本町周辺の町人街などである。古い家並が連続しているというほどではないが、ゆったりと散策して見るには最適の町である。
 再訪して感じたのは近年、古い町並を意識して一部地区で修景が行われているようであった。しかし、団体客が大挙して訪れるような町並ではなく、素朴な風情が今なお保たれている。




 上川原の町並




本町の町並


訪問日:2002.06.02
2012.04.30再取材
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