路地裏コレクション(7)
 −卯建・袖壁−



■卯建(うだつ)
 うだつは切妻屋根の両端を持上げ、袖壁と一体化させたもので、特にこの型のものを本うだつといい、その外観からは格式と迫力が感じられる。防火が目的といわれるが現存しているものはどう見ても装飾的な意味合いを帯びており、またその家の豊かさを誇示するもののように感じられる。うだつが揚らぬという諺がそれを示しているようだ。


旧北国街道沿いに栄えた産業町 富を象徴する独特の形をした本うだつが印象的だ(長野県東御市) 珍しい赤瓦屋根とうだつとの組合せ(福井県今庄町)


典型的な本うだつの商家建築(名古屋市緑区) 但馬地方は日本一のうだつ地帯といってよい この写真は本格的な町家建築だが普通の民家などにも細いうだつが立上っている(兵庫県和田山町)




これもうだつの一種、袖うだつと俗に呼ばれる。独立して瓦を頂いているからうだつと呼んで良かろう(左:徳島県池田町・右:長野県坂城町)


■袖壁
 妻部の壁だけのもの。これもうだつと呼ばれる場合があるが私は区別したい。うだつ同様防火目的が始まりと言われる。分布域はうだつより広い。




連なる袖壁はリズミカルさを感じさせる(愛知県津島市) 北陸も袖壁の非常に良く見られる地帯だ。せがい造りという独特の構えで、袖壁と軒屋根とで四囲を囲まれたような外観が特徴的だ(富山県高岡市)



■さまざまな表情のうだつ・袖壁
 



漆喰で屋号を記した袖壁(奈良県榛原町) 極彩色の鏝絵で縁取られた袖壁(岡山県倉敷市)


都市部でも時にうだつのようなものを見かけることがある 特に大阪の非戦災地区に顕著に見られる
(大阪市大正区)
但馬地方では他地域では見られないうだつの設置のされ方が見られる これは土蔵の妻部に設けられている例
(兵庫県大屋町)



郡上八幡(岐阜県)の町並 ここの袖壁の連続性も見事である

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