臼杵の郷愁風景

大分県臼杵市<城下町> 地図
 
町並度 6 非俗化度 4  −城下町の様々な姿が残る貴重な町−

 臼杵といえばまず石仏というイメージが先行するが、中世以来の城下町に由来する歴史の深い町でもある。
 16世紀中期に丹生島城が築かれ、その対岸に町が建設されはじめた。本格的に城下町の完成を見るのは美濃国より転封された稲葉氏が入城して以後で、廃藩置県までの270年余りにわたって統治した同氏の功績は大きい。
仁王座の町並 切通しと坂の風景が特徴である




 寺院が連続する仁王座付近




町八町と呼ばれた地区には商家建築も多く残っている




小手川酒造付近
 丹生島は現在は埋め立てにより陸続きとなっているが、対岸の山裾部分が最も古い町で、町人町として開発された町八町、寺院や武家屋敷の配置された仁王座、寺町などがその中心である。稲葉家の遺構として代表的なのが廃藩置県後の里帰り住宅とされる下屋敷で、これは大変な敷地面積を持つ豪邸だ。
 この町では古い町並としてのさまざまな風景が凝縮されているのが特徴だ。前述のように仁王座地区を中心に見られる武家屋敷と寺院群、特に寺の連なる風景を背景にした坂道は独特の風情を感じさせる。
 また小手川酒造界隈は漆喰塗屋造りの町家建築が連続し、迫力ある町並景観がある。この付近から旧本町の町人町地区にかけては細い街路が支配し、一部は繁華街となっているものの木造の旅館建築などがみられ、路地裏歩きが楽しめる。この地区の中心となる東西の通りは八町大路と呼ばれ、町八町地区の中心であった。現在は商店街となっており、電線の埋設、街灯の整備やパネル調の舗装など、前回訪ねた時よりもずいぶん整備されていた。この通りに沿っては伝統的な商家が多く、格式ある構えの老舗もある。やや訪れる人々におもねるような雰囲気が感じられるのが気になるところではあるが、整備により建物群の魅力を引き出すことには成功しているようだ。

※全て2011.05再訪問時撮影

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訪問日:2001.09.23
(2011.05.21再取材)
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