山鹿の郷愁風景

熊本県山鹿市<街道集落・商業町> 地図 
 町並度 6 非俗化度 4 −灰漆喰の旧家が多く残る豊前街道の町−









旧豊前街道に沿い商家建築の残る山鹿の町並


 山鹿市は県の北部、菊池川が開析した盆地状の地形に町が開けている。東の菊池市にかけては穀倉地帯であり、また温泉地が多く山鹿もその例外ではない。
 江戸期より菊池川は水運に利用され、山鹿はその重要な拠点であった。流域の米は河口に集められ、大坂に送られた後標準米として全国に売り捌かれていた。また戻り荷として積まれたのは稲の害虫駆除に使われた鯨油をはじめ、石炭や綿などであった。
 また小倉城下から熊本に向かう豊前街道が通り、山鹿には宿駅が設けられていた。特徴を生かし、参勤交代を行う藩主の御前湯も用意され、一般の旅人の多くもここで温浴するのが楽しみであっただろう。また街道沿いには櫨の並木があり、和蝋燭も生産されていたという。
 旧豊前街道沿いには、灰色の漆喰(鼠漆喰)を塗り込めた古いつくりの家が所々に見られる。特に菊池川に近い旧下町地区では、造り酒屋をはじめとし伝統的な建物が連続した箇所が残っており、古い町並らしい姿を留めていた。
 また日帰り温泉施設もある国道沿いの交差点から南東に分れる菊池往還に沿っても古い建物が散見される。このように街道の要衝が菊池川の水運と触れる位置にあることで、町場が大きく発展したのだろう。
 
 
 毎年8月に行われる灯篭祭りが有名で、街道沿いには洋館風の灯篭民芸館もある。また、一角には明治時代からの芝居屋、八千代座が残り、重要文化財に指定され山鹿のシンボルとなっている。内部も見学する価値のある芝居小屋である。

明治より続く芝居小屋・八千代座




旧菊池往還沿いの町並


※2017年6月再訪問時撮影

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訪問日:2001.09.24
(2017.06.09最終取材)
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