安来の郷愁風景

島根県安来市<港町・商業都市> 地図
 町並度 6 非俗化度 8 −中国山地の鉄の積出し港−





重厚な商家建築が連続する安来の町並


 
 中国山地は良質な砂鉄の生産地であった。安来市に流れる飯梨川(富田川)は、鉄を運搬する貴重な手段として活躍、それは現在でもこの地が鋼の町として工業が発展している証であろう。
 国道9号線で松江側より飯梨川を渡り、JRの安来駅の辺りまでがかつての安来の中心である。国道沿いにも僅かに厳かな構えの割烹など、古い町の匂いを嗅がせる。この西小路・東小路町付近より南北方向の街路、つまり町中より港までの道筋には漆喰を塗り込めた旧家が散在し、古い町並を残している。平入り妻入り混在だが特に妻入りの立上りの高い屋根が印象的である。
 山間部の鉄の産地を後背地に従え、山陰街道が町を横断する土地であり、さらに西回り航路の発達によって北前船の寄港地ともなった。境水道より中海を奥深く入った位置にあったが、内湾のため冬場など日本海が荒れる時期でも穏やかな港として重宝されたこともあるのだろう。
 広瀬藩や母里藩などの内陸の小藩を背後に持ち、物資の行き来は盛んだった。また松江の東の入口というべき位置にもあったため、安来の商家は松江の特権商人との結びつきも強く、重要な位置を占めていた。
 










 人口数万人の小都市に過ぎないが、重厚な町家・商家群を見ていると鉄と米の積出し港としての繁栄を今に感じ取ることができる。

2011.06再訪問時撮影

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訪問日:2011.06.09 TOP 町並INDEX