近代洋風建築のある風景(11)

函館の洋風建築 
  
函館には教会建築、商家建築をはじめとして数多くの洋風建築が残る。小規模なものが多い一方で軒数では他に例を見ない。ここで紹介する以外にも多数の洋風の建物が残っているが、探訪時間が限られていた上に写りの良いものが少なかったので、その範囲内で可能な限り紹介する。
市街地に残る洋風建築を一通り見て廻るにはどんなに短くとも半日は必要である。

元町カトリック教会(T13)
函館山麓の元町地区には教会建築が多く残り、坂の町の象徴でもある。




●函館ハリストス正教会聖堂(T5)
函館を代表する教会建築。後方に元町カトリック教会も見える。




●遺愛幼稚園(T2) ●旧北海道庁函館支庁庁舎(M42)
この建物は1922(T11)に再建されたもの。函館山をバックに美しい佇まいを見せる。 入口の4本の支柱に支えられた玄関の上部構造が特徴的。元町公園内にある。




●旧函館公会堂(M43) ●中華会館(M43)
早廻りの団体ツアーでも必ず寄る函館を代表する建築だ。当時の町の重要性、そして先進性がこの建物を見るだけで理解できる。 この建物は集会所として、建材その他全て中国から運びこみ、技師も中国から派遣して造られた純中国風建築である。




●私立弥生小学校(S13) ●太刀川家住宅・店舗(M34)
函館の洋風建築としては珍しいともいえるビル建築で建築年代も新しい。しかし曲線を強調した外観には強いレトロ感がある。 寄棟屋根を持つ和洋折衷の母屋は袖うだつを両端に立上げている。隣の洋館は大正前期に建てられた応接専用の建物。





●小森商店(M34) ●相馬株式会社(T2)
一階正面には出格子が見られる。ミスマッチングだが函館にはこのような和洋折衷の建物が多い。 基坂の麓に位置し、下見板張りと呼ばれる木質感を表に出した建て方で、強い存在感を示す洋館。




●旧金森商店(M13)  ●ホテルニュー函館(S7) 
市内最古の建築と言われる建物。寄棟の屋根に開口部を少なくした防火に重きを置いた建築。 もと銀行の建物を改修し、ホテルとして利用されている。




●川越電化センター(M40) ●旧轟興業(M43)
大三坂の麓にある特徴ある建物。もとロシア人により建築された事務所建築を近年になって当初の姿に復元したものである。 赤煉瓦倉庫群に近い位置にある。これも典型的な和洋折衷の建物で、一階には格子・出格子が見られる。また隣との間に煉瓦造りのうだつ調の構築物が残る。




旧轟興業周辺には小規模な洋風建築が多数連続した町並が見られる。他では類を見ない町並風景だ。 ●旧小林写真館(M40)
現存する写真館の建築としては道内最古といわれる。函館公会堂などへ向う坂の途中にあり、小柄ではあるが印象的な洋風建築だ。




●旧金森商店倉庫(M42) ●旧函館郵便局(M44)
函館で最も知られた風景の一つ。港風景を前景に、函館山を背景にした光景は非常に絵になるもので、観光写真にもよく登場する。 明治期の郵便局の煉瓦建築。現在ではショッピングセンターとして団体客が多く訪ねる観光スポットとなっている。




●旧十二銀行函館支店(T15) 大町付近の電車通り沿い。この付近は小規模な洋風建築が高密度に残っている。
大正末期に建築されたらしい堅い外観の銀行建築。

※全て2008.01撮影

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