下諏訪の郷愁風景

長野県下諏訪町<宿場町・門前町> 地図 
 
町並度 5 非俗化度 5
 −諏訪大社の門前町、甲州街道との合流点にもあった中山道の大宿場町−
 



  下諏訪町は古くから中山道と甲州街道(甲州道中)の接点の宿駅・下諏訪宿として大きく栄えてきた。諏訪盆地の中心であり、中山道も東に和田峠、西に塩尻峠をそれぞれ控えた位置にあったこと、温泉の湧く地であったこと、そして諏訪大社下社の門前町であったことなど、多くの集結要素を備えている。
 当時の宿場は甲州街道との合流点である綿の湯付近が中心であった。本陣や問屋が備わり、巴に接する街道沿いに旅籠や商家が連なっていた。
 宿場内の街道は諏訪大社下社秋宮を頂点として山裾を巻いているため、意外に街路の起伏が大きい。街路の起伏が遠見遮断の役割を果せていたためだろう、鍵の手などと呼ばれる街道の屈折は設けられていない。木造2階建の古めかしい旅館に商家らしい間口の広い建物などが混在するが、あちこちに源泉があるらしく道端の所々に湯場があり飲泉などもできるようになっている。主要街道の宿場と温泉街が一体となっているところは案外少なく、独特の風情といえるだろう。中山道・甲州街道が幹線道で、さらに諏訪大社への参拝客が絶えない当時、この界隈の賑わいは相当なものだったのだろう。
 

 旧街道沿いに温泉旅館の散見される下諏訪の町並  
 



 
下社春宮に向う街道沿いの風景 

 
 甲州街道との岐れ目にあった本陣岩波家は公開され、特にその庭の精緻な造りには感嘆させられる。宿場時代からの建物を利用した歴史民俗資料館も当時の宿駅の構造や暮しぶりも紹介され興味深い。脇本陣は本陣の斜め向かい、旅館まるやの位置にある。勤めていた丸屋要五郎にちなんだ由緒ある屋号である。
 この付近から北、江戸方に向うと下り坂になり、下がり切る辺りに共同浴場旦過の湯と老舗旅館がある。この辺りが温泉街として最も濃厚な風情を感じる。旧中山道は更に北に延び、所々に商家風の建物や土蔵を見、町の風景越しに諏訪湖を遠望しながらながら下社春宮に達する。
 諏訪大社と温泉街を含め、深い歴史に支えられた下諏訪宿の探訪は味わい深いものがある。諏訪大社秋宮・春宮を含めた探訪により印象にも重厚さが増すことだろう。
 
 

 

 本陣付近の町並 北側は共同浴場などの見られる下り坂となる 


 
 

下社秋宮近くにある「歴史のこみち」 土蔵群が見られる 
 
 

下社秋宮の本殿
   

訪問日:2004.05.30
2022.06.01最終訪問
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2022.06最終訪問時撮影  旧ページ1   旧ページ2